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2021年1月 1日 (金)

Erica Synths SYNTRX を導入しました!!

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明けまして、おめでとうございます!!

2021年も、当ブログ「ともべの錯乱絵日記」と、親サイトの「シンフォニックロック・ワールド」を、よろしくお願い申し上げまーす!!

で、実は2020年末に、買っちゃいましたーっ!!Erica Synths SYNTRX。ラトヴィアのシンセメーカー、Erica Synthsが往年の名機、EMS AKSを完全アナログ回路で現代に復刻したシロモノ。年末3日間ぐらいアレコレいじってて、だいたい使い方が判ったので、ココでかるーくレビューしてみたいと思います。但し、ともべ、オリジナルのEMS VCS3やAKSは全く触ったコトはございません。念のため...。

2020年11月に日本に入ってきたばかりなので、同梱の英文マニュアルみながらアレコレいじってみて、それでも不可解な点がいくつかあったんだけれど、海外のWebサイトにこのSYNTRX使用法のチュートリアル動画があったので(これがすごく判りやすかった!!)、だいたいの不明点はクリアできました。

ちなみにこのSYNTRX、パッチコードは1本もありませんが、完全な「モジュラー・シンセ」です。後述しますが、パネル中央のマトリックス・ボードでモジュール間をパッチします。なので、モジュラーシンセのパッチングのスキルのある方であれば、比較的すぐに使いこなせると思います。反対に、モジュラーシンセの使用経験のない方は、残念ですがモジュラーのパッチングをイチから勉強する必要があります。あしからず...。

製品の概要としては、オリジナルのEMS VCS3やAKSが「あまり音楽的なシンセではない」ことはウワサには聞いていたのですが、その指摘、当たってます。「楽器」というよりは、「音を電気的に合成もしくは加工する、電子回路機器」といった表現が正しいです。なので使い方を一歩間違うと、単なる「高価な雑音発生器」(笑)と化してしまいます...。

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上がオシレータのセクション。オシレータは3基あって、オシレータ1がサイン波とノコギリ波、オシレータ2と3がパルス波と三角波です。これらは若干役割が違ってて、オシレータ1と2の周波数帯は、主にオーディオの帯域です。つまり、音のネタとして使うことを主目的として設計されています。ちなみにこの2つのオシレータをシンクさせることも可能です。

それに対して、オシレータ3の周波数帯は、はるかに低いです。つまり、これだけ主にLFOとして使われることが想定されています。

ちなみに、オシレータの生音の印象は、さすがに純粋にアナログ回路らしく、ものすごく太くて力強いです。但し、これをCVもしくはMIDIでメロディックに使用しようとするならば、オシレータのピッチは自分の耳もしくはチューナーで合わせる必要があります。

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上がこのSYNTRXの一番のウリ、フィルターとマトリックス・ボードです。

先にマトリックス・ボードから。オリジナルのVCS3なんかは物理的にピンを差してパッチングするんですが、ここでは完全にLED化されています。2つのツマミでポイントを移動させて、ボタンをプッシュしてパッチ・オンにします。ちなみに単なるオン/オフだけではなくて、3段階の強弱も設定できます。(パッチで流れる、オーディオやCVの信号の強さをコントロールすることができます) あと、作成したパッチは、メモリに保存することが可能です。

マトリックスの、左側、縦軸が出力ソースのモジュール、上部の横軸が、入力先のモジュールになります。さらに、上部の入力先は、左半分がオーディオ信号としての入力、右半分がCVとしての入力になります。あるモジュールの出力を、別のモジュールの入力として、LEDピンの位置でパッチします。このあたりは通常のモジュラーシンセと考え方は同じなんですが、このマトリックス・ボードのメリットは、1つのモジュールの出力を、複数のモジュールの入力としていくつでもパッチングできてしまう点。コード式のパッチング・シンセだと、これをやるにはモジュールに複数のOUTPUTがあるか、あるいはディバイダーみたいなモジュールをかまして出力を分割する必要があります。このマトリックス・ボードだと、それが必要ないです。

次にフィルター。(画像の上部)これが一番のクセ物でした。フリケンシーは通常のフィルターと同じ。ローパス・フィルターのカットオフ・ポイントです。問題はその横のレゾナンス。Resonanceという言葉はまだなかったらしく、Responseというパネル表記になっています。このレゾナンス、カットオフ・ポイントを色々設定して、レゾナンスをどんなに動かしても、音色は変化しません。最初は「壊れてるの??」とか思いました。実はこのレゾナンス、入力ソースのレベルと連動しているんです。なので例えば、入力ソースを仮にオシレータ1として、オシレータ側の出力レベルを徐々に小さくしてやると、途端にレゾナンスが効きだします。なのでこのレズナンスの効き加減は、入力ソースのレベル、カットオフ・ポイント、レゾナンスの強さ、この3つの要素で決まるようになっています。

「こんな変なフィルター、誰が考えた??」(笑)

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次が「トラペゾイド(TRAPEZOID)」。英語で「台形」という意味です。いわゆる、エンベロープ・ジェネレーター。これもちょっとクセがあります。まずこのエンベロープ・ジェネレーターの作動、デフォルトでループするようにできています。つまり、繰り返し作動します。ATTACKとDECAYは通常とほぼ同じ概念だからいいとして、「ON」は、ATTACK後に音が持続している「持続時間」です。「OFF」はその反対で、DECAYの後に音が出ていない時間です。このONとOFFの時間設定で、ループのスピードを調整します。さらに、この「OFF」を10、つまり「MANUAL」と表記してある位置にすると、ループが停止して1回だけの作動となります。ここでようやく、通常のエンベロープ・ジェネレーターと同じ使い方になります。

このTRAPEZOID、エンベロープの出力をCVとして取り出したい場合には、「TRAPEZOID」ツマミで出力レベルをコントロールします。あるいは、このTRAPEZOIDは独立したVCAを内蔵していて、オーディオ信号を入力として、設定されたエンベロープに加工して、再度オーディオ信号として出力することができます。その場合には、「SIGNAL」ツマミで出力レベルをコントロールします。

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次に、スピーカとリヴァーブ、そして外部入力です。このSYNTRX、本体にステレオのスピーカーが付いています。なので、ラインで繋がなくても、音が出せます。さらに、本体内部にスプリング・リヴァーブも内蔵されています。なので、この本体だけで音に残響を付けることができます。

で、ココまで書くと、「ほーらー、アンプに繋がなくていいので、便利でしょ??」とか「外部のリヴァーブ通さなくて良くて、便利でしょ??」なんだけど、実はこの2つ、実装されている目的は、実はそこではないです。本体のスピーカーから音を出すと、内蔵のリヴァーブはいかんせん「スプリング」だもんだから、同じ筐体ですぐに共振を起こしてハウリングのようなフィードバックが発生します。このフィードバック音そのものを「音作りの1要素として、積極的に有効活用してください」というのが、本来の趣旨です。

「こんな変なシンセ、誰が考えた??」(笑)

あと、上の画像で左側にある「INPUT」。これが外部からのオーディオ入力で、チャンネル1、2でステレオです。これがまた、昔であればEMS VCS3なんかを特徴付けた重要な機能の1つです。この外部入力からのオーディオ信号を、内部モジュール、例えばフィルター等の入力として使用して加工できるだけではなく、何とモジュールのCVとしても使用することができます。一番有名で分かり易い例は、キング・クリムゾンの「アースバウンド」の最終曲「グルーン」。イアン・ウォーレスのドラムが中間部で徹底的にシンセ変調されていますが、あれがVCS3の仕業であることは、とっても有名です。あれはこの、外部入力の機能を使用して音を加工したものです。

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で、最後に、このSYNTRXを音楽の中でどう使うか??なんですよねー。困った(笑)。上の写真のように、ステップ・シーケンサーを繋いでCVとGATEでコントロールするのが、まずは一般的かな??なんて気がしています。ただ、例えば一番有名なピンク・フロイドの「狂気」の「On The Run」のようなことをやりたければ、音階をちゃんと入力できるステップ・シーケンサーが必要になります。実際、フロイドが「On The Run」のシーケンスで使用していたのはアルバム・クレジットにあるVCS3ではなくて、ステップ・シーケンサー内蔵の後続モデル、EMS AKSのほうなので。このSYNTRXは残念ながら、シーケンサーは内蔵していないです。上の写真はコルグのSQ-1を繋いでみたんですが、SQ-1は音階を正確に入力できるステップ・シーケンサーではないので、「狂気」みたいなのをやりたければ、ちょっとキツいですかねー...。

あと、MIDIで繋いでキーボードから演奏することも可能です。ともべの知る限り、歴史的にEMS VCS3をよりによってバンドのメイン・リードシンセとして使用していた(笑)、変わり者のプログレ・キーボード奏者は2人。カーヴド・エア時代のフランシス・モンクマンと、トレースの故・リック・ヴァン・ダー・リンデンです。あの「明らかにミニ・ムーグなんかとは違った、クセのある音」が、このSYNTRXであれば仕組み的には出せるよね、って思いました。ただ、MIDIで繋いでリード・シンセとして使うのであれば、残念ながら(たぶんEMSの仕様なのでしょうから、仕方ないのですが...)一番欲しい「ポルタメント」なんかは、SYNTRX単体の機能では、かけられないと思います。オシレータへのCVを、電圧と電圧との間でスムーズに繋ぎたいのであれば、CVにスルー・リミッターのようなモジュールをかまして、キーボードからMIDIではなくCVとGATEでコントロールする必要があるでしょう。

さらに、EMS使いのお手本として、初期のジャン・ミッシェル・ジャールのアルバムなんかも何枚か聴きなおしてみました。あの、アルバム「OXYGENE」で山ほど聴かれるようなシンセ・エフェクトの音、あれが明らかにEMS VCS3やAKSの音ですね。ああいった「音階に捕らわれない効果音」なんかには、このSYNTRXは向いていると思います。

あとブライアン・イーノが、VCS3やAKSのヘビー・ユーザらしいんですが、例えばジェネシスの「幻惑のブロードウェイ」の旧レコードC面。あのサウンド・エフェクトの嵐は実はイーノがゲスト・ミュージシャンとして担当していて、「ああ、あの音ね!!」って思いました。あと、ノイズ系のループを多用するような、クラブ・ミュージックやトランス系の音楽なんかにも、向いているんじゃーないかと思います。(ともべ、あんまりそっち方面の音楽は詳しく知らないんですが...)ただ、このシンセ本来の趣旨としては、あまり音楽的ではない、シンセを使用した実験音楽のようなものが、最も合っているような気がしています。ともべ自身も、購入してまだ数日しか経っていないので、SYNTRXにはものすごい可能性があることは判ったものの、本格的な研究は、まだまだこれからです...。

ってなワケで、簡単にErica Synths SYNTRXを紹介してみました。基本は「このシンセ、何か変??」(笑)みたいなポイントだけをかいつまんで紹介したので、ノイズやら、サンプル&ホールドやら、リング・モジュレータやら、通常のモジュラーシンセと機能的に特に変わらないモジュールは、ざっくり省略しました。ごめんちゃい。(笑)

でわでわ。。。

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